ク・セ・ジュ 〜月夜に君は何を想うか〜

考えるということは、要するに自分で何か映像をつむぎだしていくということだ。何かが、あたかも自分の眼にはっきりと映るかのようにしていくのが「考える」ことだ。どんな人でも、結局はそういうふうにして考えている

歴史SF小説草莽ニ死ス 〜a lad of hot blood〜 第8話

☆就活をしないといけないのにES(エントリーシート)の代わりに小説を書いているいがもっちです。小説には緩やかというか雑味になる箇所が必要だと個人的には思っています。今回の話はその雑味にあたる部分です。
 
「う〜〜、やはり朝はとりわけ寒いですな」
 小佐吉は屯所の庭掃除をしていた。
 庭一面には落葉が敷き詰められていた。
 秋は終わり冬を迎えようとしている。
「憧れの新撰組に入ったのはいいものの、こう毎日毎日雑用ばかりでは気が滅入る」
「おい、そこの小者。ちょっと御使いに行ってきてくれ」
 縁側から隊士の一人に声をかけられる。
「ははっ」
 内心では「俺は召使いではないぞ」と思いながらも小佐吉は従うしかなかった。
 
「あとは味噌でござるか……」
 小佐吉は風呂敷を片手に街中を歩く。
「きゃっ!」
 女性が悲鳴が聞こえて、振り向くと女性が倒れている。その女性から離れるように男が走っていくのが見えた。
「泥棒でぃ。とっつかまえろ」
 女性の周囲にいた人が女性の代わりに叫んだ。
 どうやらひったくりらしかった。
「こらっ、待たぬか!」
 事情がわかると同時に小佐吉は盗人を追いかけ始めた。
 街中を駆け巡る盗人と小佐吉。
 かれこれ10分以上は走っただろうか。
 盗人が左折する。小佐吉もそれについていく。
 そこは袋小路だった。
「くそっ」
 盗人は舌打ちし小佐吉の方を脇差を抜いた。
「容赦せぬぞ……あっ」
 小佐吉は庭掃除しているときに御使いを頼まれそのまま出てきたためで刀を携帯してなかった。
 盗人が刀を構えてこっちに向かってくる。小佐吉はたまらず背を向け逃亡する。
「うぉわ」
 突如、後ろから悲鳴が聞こえた。
 見ると自分ほどの身長の小童が盗人の剣を弾き、腕に一太刀を浴びせていた。一体どこから現れたのだろうか? 塀の上からでも現れたのか。
「盗みは良くないよ〜。自分でちゃんと稼ごうね」
 少年はべろっと舌を出す。
「大丈夫? 怪我とかない」
 少年はアフターケアも忘れず小佐吉の身を気遣った。
「助かりました。お強いですな」
「あんなのいつもの稽古に比べれば朝飯前だよ。君もなかなか勇敢だねぇ。刀なしで立ち向かうとは」
「いえいえ、それはもう性分でございますので。悪をほっとけないたちでして。ただ強くはないのでそれは考えものですが……」
「ふーん。とりあえずこいつとっ捕まえたことだしさ。うちにきなよ。こいつ連れてかないとだし。これも何かの縁だしいっちょ稽古つけてあげようか」