歴史SF小説『草莽ニ死ス 〜a lad of hot blood〜』

ク・セ・ジュ 〜月夜に君は何を想うか〜 考えるということは、要するに自分で何か映像をつむぎだしていくということだ。何かが、あたかも自分の眼にはっきりと映るかのようにしていくのが「考える」ことだ。どんな人でも、結局はそういうふうにして考えている

歴史SFリレー小説『(タイトル未定)』 第1話

●歴史SFリレー小説がはじまります。舞台は幕末の京都。第1話は、清水トミカ(仮)改めゴクツブシ米太郎が担当しました。暇があれば読んで行ってください。どうぞ。

 

 京の町の一角にでん、と構えた町人屋敷、その離れの裏手で空を切り裂くにぶい音が小一時間、もう小一時間もつづいている。

 覗いて見れば、汗だくの二人の男が小袖を剥いて上だけ裸になり、一心不乱に木刀を振っている。

「あーあ、ぼく疲れちゃったよ。小佐吉(こさきち)、そろそろ休もうよ」

 根を上げたのはこの屋敷の当主、梶尾賢晴(かたはる)の嫡男、隆晴(たかはる)だった。隆晴は木刀を投げ出し、地面にへたりこむ。

「まだまだですぞ、若様!」

 小佐吉と呼ばれた男は地が鳴るような大音声で喝を入れた。

「将来、新撰組隊士となるような御仁には、この程度の鍛錬でへこたれている暇などありはしませんぞ!」

 そう叫ぶや否や、木刀の素振りを再開する小佐吉を見上げながら、隆晴がぼやく。

「でもいくら練習したって、剣の技が下手くそなら意味ないじゃん。現に小佐吉は新撰組の入隊試験、落ちてるわけだし」

「落第したからこそ、再起を果たさんと修行に打ち込めるというもの。若様と私のどちらが先に入隊できるでしょうかな!? 競争ですぞ! わははは!」

「いや、でも小佐吉は剣術ドヘタじゃん。ぜってームリ。アハハ」

 その時、二人が飛び上がらんばかりの怒鳴り声が轟いた。

「くぉぉぉぉらぁぁ、てめぇら何やってんだ!!」

 当主賢晴が出先から戻ってきたのだ。隠れて練習しているつもりだったのだが、小佐吉の大声が聞かれてしまったようだ。

「小佐吉テメー、また剣術などくだらんことをせがれに教えやがって! この害悪畜生め! 門番は門番らしく棒のように突っ立っていやがれ! ぶち殺すぞ!」

「……ふぁい」

 小佐吉は俯いて返事をし、すごすごと自分の持ち場に戻っていく。

 数ヶ月前、田舎から上京を果たして新撰組の入隊試験を受けるも落第し、意欲も財布の中身もすっからかんの自分を拾ってくれた賢晴には、まるで頭が上がらなかった。

「隆晴、テメーも新撰組に入りたいとか頭おかしいこと抜かしてんじゃねぇ」

 立ち去る小佐吉の耳に、賢晴がぷりぷり怒りながら、木刀を真っ二つに折る痛々しい音が突き刺さった。

「町人の子は町人らしく、この家を継ぐことだけを考えていな。新撰組に入ったってアレだぞお前、町のゴロツキひっ捕らえて薄給もらうが関の山だぞ。それより己の力でたんと稼ごうじゃねぇか!」

「分かってるよ、でも……」

「最近じゃ新撰組の評判も悪いみたいじゃねぇか。近藤一派が芹沢一派を粛清したり、例の『死児さらい』を捕まえるのにてこずっていたり……。隊の規模が大きくなるにつれて組織が回らなくなってるんじゃねぇかと俺は睨んでる」

 死児さらい、か。

 小佐吉はハッと顔を上げた。ここ一ヶ月ほど、京近辺を騒がしている誘拐犯の噂は、小佐吉の耳にも届いていた。なんでも、死児の墓を掘り起こして死体をかっさらっていく、不可解な事件が頻発しているという。犯人は一人なのか複数人なのか、男なのか女なのか、何一つ手がかりはつかめていないときいている。

 そいつをひっ捕らえれば、新撰組への入隊が叶うやもしれぬ。

 小佐吉の胸に、再び熱い希望が煮えたぎってきた。

 

(第1話終わり)

【開幕】リレー小説、始動。

どうも管理者のいがもっちです。

 

管理者なのに更新が一番最後ってどういうことなんでしょうかね。

 

この度、訳あってブログの移動をさせていただきました。

 

igamocchi.hatenablog.com

↑以前のブログ

 

小説とかをブログに載せていこうかと思ったんですが、

 

いかんせんどういった形がいいものかと模索しております。

 

前のブログであげてた「ロストテクノロジーは誰のために」は、

 

ちょっとブログには向いていないかな。

 

ということで今回こうしてリレー小説を始めることにしました。

 

テーマは「幕末の偽史」です。

 

トミカ、いがもっち、マーシャルの3人ローテーションで

 

小説を書いていきます。

 

分量なども自由です。

 

( )

 初めまして、清水トミカ(仮)と申します。いま世間を騒がせているフミカの遠縁にあたる、ミニカー好きの社会人です。管理人に誘われたので書きます、という気持ちで胸がいっぱいです。

 折角さそって頂いたので、大好きな車のことだけでなく、ちゃんと小説などを書いていきたいと思います。

 書くからには、目標をもってやりぬきます。

 私の目標は「すべらないこと」です。

 なにかを書いて発信するという行為は、基本的にすべるリスクを伴っている。いや、もはや半分すべっている。私は自戒もこめてそう思うことにしています。

 自由度の高い媒体はとりわけすべりやすいので怖いです。それこそ小説や詩、ブログやSNSとか。本人はノリノリで書いていても他人から見ればハズカシイオ●ニー…というのはよくあるパターン。私もしょっちゅうやらかしている気がいたします。

 でも、昨日食べたご飯の話だろうが、高校生の初恋物語だろうが、どんなにツマラナく思える内容でも、伝え方や表現の仕方しだいで何倍にも面白くなっちゃうのが書くことの醍醐味だと思います。すべっていないプロの作品を読むと、そこんとこの巧さにいつも魅了されてしまいます。

 えらそうなことを書きましたが、たぶん、私は冒頭ですでにすべっていると思うので、次からはすべらないようにがんばります。また、私は無神論者です。車もそんなに好きじゃないです。それでは、さようなら。

 

 

挨拶。

 管理者の友人のマーシャルです。ここに書き物を今後載せていきます。ことの始まりは自分がTwitterをしている時、

「ブログやらない?」

と彼から連絡が届いたため。どうやらTwitterでのセンスを買われたらしい、期待には応えられるよう善処します。カンバリマス!

 受けた内容の指示はというと一言「何でもいいよ」。自由に書かせて頂きます。