ク・セ・ジュ 〜月夜に君は何を想うか〜

考えるということは、要するに自分で何か映像をつむぎだしていくということだ。何かが、あたかも自分の眼にはっきりと映るかのようにしていくのが「考える」ことだ。どんな人でも、結局はそういうふうにして考えている

歴史SF小説『草莽ニ死ス ~a lad of hot blood~』 第24話

★マーシャルです。一人称と三人称、どっちで書いても上手く書けない。

 

「まさか手がかりの以蔵が爆発するとはねぇ、ハハハ」

「笑いごとじゃないですよ!自分は死にかけたのですよ」

 藩邸での爆発はあの後かなりの騒動になった。自分と藤堂どのは、面倒事は御免とその場を脱け、近くの茶屋の中で茶を呑み団子を齧っていた。所謂、サボりである。

「でもこれからどうしましょうか藤堂殿、肝心の手がかりは無いのですよ。こうなれば、我々は操練所がある神戸へ向かい情報収集を」

 藤堂どのは飲み終えた湯呑を盆の上に置くと、落ち着いた様子のまま口を動かした。その手には新たにみたらし団子がつままれている。

「全く小佐吉君、ちょっとは落ち着いて考えなよ。」

「死にかけて、落ち着いていられる訳がないです!そういう藤堂どのこそ、何か分かったのでございますか」

 喋りながらも団子を食べるペースは緩まない。

「考えてみてよ、今京で土佐の勤王派残党が藩邸を襲撃する理由なんか一切無いよ。確かに追手を殺ることは時に必要だけど、藩邸爆破何て声明も要求も無しに大勢は何も変わらないよ」

「まあ、確かにそうでしょうな。」

「だったら今、出来損ないの人形なんか使って騒ぎを起こすのは誰で、その理由は何なのか、理由は一つじゃないか」

 藤堂どのはもう答えを言ったつもりのようだけど、イマイチ分からない。

「理由と言っても、あんな中途半端なことむしろ土佐の警戒を強くして警備を……、あっ」

 当てずっぽうに、応えていると何となく分かってきた。

「ひょっとして以蔵を送り込んだのは操練所塾生で、彼らは追手の人員を警備に回して、逃げやすくする算段なのですね。成る程、となれば爆発は土佐藩邸だけじゃなくて、もっと他でも例えば……

 

ドゴーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!!!!!!!!!

 

 小佐吉の回答に代わって突如響いた轟音がその役割を務めてくれた。慌てて外に飛び出すと、煙が二条城のある方角から上がっていくのが見える。

「あそこには確か、見回り組の詰め所が」

 自分が唖然となっている間に藤堂どのは勘定を済ませ、暖簾を押して表に出てきた。

「そう、逆に彼らは上手くやれば追手をかく乱出来る上に負傷させることが出来る。今の都は厳戒態勢。皆が皆勤王派を取り締まろうと躍起になってるんだ。懐に潜らせるのは簡単だよ、怪しい浮浪者だったら即、逮捕じゃないかな」

 藤堂どのは不謹慎な程、嬉しそうだ。獲物がやっとやって来たと言わんばかりに。

「大丈夫だよ、彼らが保護を受けるには絶対あそこに行かないと駄目なんだ。じきに来るよ。とりあえず屯所に戻ろう、ウチも安全かどうかは分からないけどね。」

 藤堂の団子の串の先は、確かに薩摩藩邸の方を捉えていた。